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栗坂某の黒歴史

ラインクラフトとフェリシア接触の怪

2005年10月17日

このスポニチの記事が全ての始まりだった。

4コーナーでも絶好の手応え。だが、福永の頭に「勝利」の2文字が横切った瞬間に予期せぬ誤算が生まれた。「そろりと抜け出すはずが…」(福永)内のフェリシアと接触。馬が怒って一気にスパート態勢に入ってしまった。

(中略)

「スタンド前の発走でスタートから力んで走っていた。それでも手応えはあったし、4コーナーまでは良かった。最後のアクシデントが痛かった。あとちょっとだっただけに…」と唇をかむ福永。

クラフト痛恨の接触/秋華賞 (SponichiAnnex)

リアルタイムで見ていた時には気が付かなかった接触のアクシデント。敗因の一つとして挙げているのなら確認しておかねばなるまい、ということでJRAが配信しているレース映像及びパトロールビデオをチェック。道中2番手を進んでいたフェリシアと道中4、5番手を追走していたラインクラフトが接近するのは4角出口付近。外目から内へ切れ込むラインクラフトが映し出され、この際に接触があったのだろうと思った。しかし、それではアクシデントというよりは鞍上の責任ではないか?という線で記事を書こうと問題のシーンを繰り返し見る。見る。見る。角度の違う2つの映像を見れば見る程「本当に当たっているのか?」という思いが強くなり、そういえば、とラジオ NIKKEIの記事を思い出した。

2着 ラインクラフト(福永騎手)

「何とか押し切れると思っていましたが、最後の1完歩で負けました。悔しいです。3コーナーで他の馬と接触してテンションが上がってしまいました。スタンド前でも行きたがるところを見せていました。残念です」

【秋華賞】レース後のコメント (ラジオNIKKEI)

先にも書いたようにフェリシアに接近したのは4角出口付近。しかしこちらでは"他の馬"と接触したのは3角になっている。確かにフェリシアに接近する前からテンションが上がっていた節もあり、もしかするとスポニチの記事は根本的におかしいのではないかとの疑念を抱く。そしてそれを確かめるべく第三のソースを探す。

3コーナーすぎに予想外の出来事が起こった。外に持ち出そうとした時、斜め前にいたフェリシアに外に振られた。「あれで馬が怒っちゃった」。そのまま4コーナーすぎに先頭に立ったが、ラインは力んでいた。

福永「残念」ライン“3冠”逃す/秋華賞 (nikkansports.com)

ラジオNIKKEIとこの日刊スポーツの記事はおそらく同じ場面を指していると思われる。また、具体的な状況も記されており、これを踏まえてレース映像を見直す。件の場所は600m標識手前。外から進出しようとしたラインクラフトが、更に外にいたシールビーバック共々外に膨らむシーンがある。これが日刊の記事が指しているところだろう。しかし正確には、ラインクラフトの右斜め前にはスルーレートがいて、その右斜め前にフェリシアという位置関係。つまりフェリシアを起点にスルーレート→ラインクラフト→シールビーバックと波状に外に振られたと推察され、フェリシアを起点とする根拠としては、該当シーンでの不自然な横(外への)の動きが認められることが挙げられる。そしてここからラインクラフトは抑えが利かなくなったかのように上がって行き、4角出口付近でフェリシアに最接近することになる。

以上のことから、スポニチの記事に端を発したラインクラフトとフェリシアの接触は、

600m標識手前でフェリシアが外へヨレたことにより、その煽りを食って膨らんだスルーレートとその外にいたラインクラフトの接触。

だと私は考える。従って、日刊スポーツは外してはないけれど説明が足りず、スポニチに至っては本当にレースを見て書いているのかと言わざるを得ない。かく言う私もスポニチの記事を鵜呑みにしかけていただけに人のことをとやかく言えないけれど、素人、玄人問わず、自分の目で真実を探す努力が必要だと痛感した2005年秋華賞でありました。